9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/02(木) 12:28:52.49 ID:3+/L7r7C0
その日から、何やら留美さんの様子がおかしい。
産婦人科のパンフレットがバッグから露出している。
事務所の雑誌の占い…留美さんの結婚運に全て円が描かれている。
婚期、結婚、指輪、子供…そんなワードにぴくり、と肩を震わせているのだ。
そして、雑誌取材に家事が趣味、と答えたり。
料理をはじめたのか、指に小さな傷を作っていた。
「留美さん…最近、悩んでること、あるんですか」
『………』
『ええ』
「俺で力になれるなら、何でも相談して下さい」
『その…仕事の事、なのだけれど』
『結婚、いえ…その前に、男性との交際もないから、そういうのがわからなくて』
『それに…結婚前にウェディングドレスは、婚期を逃すんだ、って知ったの』
『けれど、仕事は完璧にこなしたいと思うから、心情を理解しようと思って』
「…留美さんなら、すぐにでも結婚できると思うんですが」
俺の正直な気持ちだった。それは、もう1つの意味もあって。
それに気付いたのか…彼女は、朱に染まった表情で言った。
ありがとう、そして…頑張るから。そう言って、笑った。
彼女は以前より…ずっと自然な笑顔で笑ってくれるようになった。
その笑顔に惹かれて、俺は。
そして、仕事の当日。
緊張していた。
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