過去ログ - 李衣菜「ロックとは――戦いだ!」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/03(金) 00:57:02.29 ID:yB2cmx3Oo
――ちゃんと有香さんのダンスを目にするのは、初めてだった。
ほとんど同期だし、体力はあるけどそこまで私と変わらないかな、
と思いながら見てたんだけど……そんな甘い考えが、もう綺麗さっぱり打ち砕かれた。
振り付けの内容は明らかに私より激しいのに、全く苦しそうじゃなくて。
動きのひとつひとつが、すごく機敏っていうか……びしっとしてて、メリハリがあって。
途中途中に混ざってるのは、確か空手の……演舞?
有香さんの発案なのか、それともトレーナーさんが言い出したのか。
動きの中に、踊るような手や足の振りが自然に入ってて、
それがまたびっくりするほど似合ってる。
そして――最後の方、強く吐かれた息と一緒に出した、正拳突き。
ぱっと飛び散る汗と、邪魔になるだろうからまとめられたポニーテールの髪が浮かんで、
有香さんの目の前の空気がずばんと押し飛ばされたみたいに見えた。
たとえばボーカル偏重のなつきちや、機械みたいに正確なのあさんとは違う。
なんていうか、何度も何度も繰り返して身につけた、そういう重み、みたいなのを感じた。
曲が終わって、さすがに疲れたのか、ふぅー、と長い息を吐く有香さんに、私はダッシュで近寄った。
これだ、と思った。
そう、これこそ――ロック!
「有香さん、トレーナーさん! 今の、私にも教えてください!」
何言い出してるんだろうこの子、みたいな視線には、気づかなかったことにして。
私は、有香さんの中にロックを見たんだから。
そうしたらもう、そこに向かって走るしかないじゃん!
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