過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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276: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/05/25(土) 22:45:26.83 ID:BQcyfcyn0

「すー……」
「………」

フィアンマは、アウレオルスの見舞いに来ていた。
この病室、もとい病院は非常に親切なもので。
ナンバープレートの下に点字で号室名が示されているため、迷わずにこられた。

過労、ストレス。

アウレオルスが倒れた、高熱の原因はこれだと言われている。
元々勤勉な性格で仕事に没頭しすぎる傾向があったため、隠秘記録官は皆仕方がないと笑っていたそうだ。
退院して職場に戻っても、手篤く歓迎、及び心配されることだろう。

フィアンマは持ってきた細い花束の花を、花瓶へと生ける。
禁書目録がローマ正教へ来たのは、彼女の取り計らいだった。
アウレオルスがかつて口にした『自分の仕事の成果を世界の人々の為に』という意見を尊重したのだ。
禁書目録が覚えれば、当然それはイギリス清教の手に渡る。
自分達の切り札にすべきだと喚く枢機卿達を時に脅迫で、時に甘い報酬で誑かし、フィアンマは彼女の来訪を実現させた。
その結果が彼の過労に繋がってしまったのなら詫びるべきかな、と彼女は思う。

「んん……」

彼の寝言に耳を澄ませる。
いつも見ている訳ではないが、彼の寝言は結構単純なものだ。

もう食べられない。
これで出来上がりだ。

そして。
時々、自分の名前を呼んでくれる。

どんな夢を見ているかは知らないし、聞き出そうとも思わない。
でも、アウレオルスが自分の名前を呼んでくれると、寝言だったとしても心が温かくなる。
その瞬間だけは、自分が彼の"特別"を独占しているような気がして。


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