過去ログ - さやか「あたしが僕で僕があたしで」
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60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/12(日) 10:56:57.70 ID:Dgfk4HX70
それがどうしたことだろう。

腕を支えてくれと言われた時、胸の奥で何かが引っ掛かった。

またあの体に戻るんだ。

一生動かない左腕を抱えたまま。

ただ曲を聴くことしか出来ない、バイオリンの弾けない、あの体に。

そう思った瞬間、僕は口を閉じていた。

少しだけ怖くなったんだ。

今は動いているこの腕が、また動かなくなることを。

そんなことは分かっていたはずなのに、いざ目の前で、戻る可能性の話をしていると、じわじわと心が浸食されていくのが分かった。

あの部屋にずっといれば、きっと僕は耐えられなくなる。

醜い部分を全部さやかにぶち撒けながら、いろんなものを傷付けてしまいそうだった。

だから僕は、適当な理由を付けて出てきてしまった。

完全に適当ってわけじゃないけど、それは些細だ。

さやか「はは、自分で言うのはやっぱり辛いな……不便な体って」


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