過去ログ - 桃子「桃が咲くまで」春「春を待てない」【咲SS】
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18: ◆oeEeLVGR7U[saga]
2013/05/15(水) 23:46:10.19 ID:FggAXTCZ0
-side 桃子

-演劇部部室


また部室に戻ってきた
存在を示すために、思いっきりドアを開ける

「ワハハ、モモかぁ。びっくりしたぞ」
「そんなに強く開けなくても分かるぞ…」

部長がいつも通りにのんきに笑い、先輩が少し顔をしかめた

私はお構いなしに先輩に詰め寄る

「対抗戦、出るんですよね?」
「……出ないつもりだが」

珍しく、一瞬だけ言葉を詰まらせた先輩
まだ、迷うだけの余地はあるんすか?

だったらっ…

「なんでっすか。同じチームで打てるなんて、高校ではこれが最後かもしれないのに」
「ああそうだな。そんな機会はないかもしれないな」
「だったら、私は一緒に出たいっすよ」
「だが、演劇もこれが最後だ」

だから対抗戦を諦めるんすか…
どっちもやるって選択肢はないんすか…

でも先輩の瞳は、私に対抗戦を諦めろと言っているようだった

「どっちもやるってのは、無理なんすか?」
「日程上、ダブルブッキングが起こりうるからな」

ただ展示をするだけの部活だったら問題なかっただろう
けれど演劇だから、誰かが抜けながら演じるなんて難しいのは分かる…

分かるけど…

「ワハハ。2人とも、ここは私に預けてくれないか」

部長が私と先輩の間に入った

「…預けるも何も、結論は出ている」
「ゆみちんの中では、な。私はまだ結論を出すには早いと思ってるぞ」

まあなんとかなるだろと笑いながら、今度は私に対して、

「モモ、とりあえず台本を読んでから考えてみてくれないか。ゆみちんにだって、譲れないものはあるんだ」
「……分かったっす」

カバンにしまい込んだ台本…
先輩を揺り動かす何かが、この中にあるんだろうか

それとも…

「じゃあ今日は解散だ。各自、台本を読み込んでくるように」

パンパンと手をたたき、部長は率先して片づけを始めた
先輩は私と目を合わさないまま、自分の荷物をまとめていく

一緒に打ちたいって思うのは、いけないことなんっすか、先輩


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