過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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228:1[saga ]
2013/06/05(水) 22:07:49.19 ID:ySNbxrWU0

「…………マミさん」

　唸り、睨み、牙を見せる金髪の獣。

　赤き槍使いは、哀しみを込めて………………、

「憐れ、だよなあ。ごめんな。アタシが居たら、こんなことにならなかったのかもな。

あの時、決別してなかったら、アンタを頼っていたら、きっともっと違う結果になってたのかもしれないよなあ。

ごめん、マミさん。

一人ぼっちにしちゃって、ごめん……」

　マミは唸る。追い詰められた畜生のように殺気立った眼で杏子を睨み上げ、牙を剥く。

　足の傷の治りが遅い。きっと、この間の聖水のように、あの手榴弾にも吸血鬼によく効く何かが仕込まれていたのだろう。

「グアアッ」

　マミが腕を振るう。ビュオッと空気を切る音がしたが、さっきまでのそれと比べれば、ずっと遅く、威力も低い。

　さらにマミは二度、三度腕を振るう。
それはまるで、近づくなと言っているみたいで、駄々を捏ねる子供みたいで、最後の抵抗を試みる獣みたいで……。

　杏子の頬を熱いものが伝った。なんだか視界もぼやけている。

「ごめん」と小さく呟いた声も、随分湿っていた。

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