過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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563:1[saga]
2013/07/21(日) 22:20:51.90 ID:IACn5YQp0

　喧嘩両成敗、とは言い切れなかった。

　だって、それは喧嘩をしたらどっちも悪いってことだから。
でも、二人とも言っていることが正しいとまどかには思えたのだ。
だから、両成敗なんて言えなかった。

　そのせいで、あわやというところまで行ってしまった。

　その時に動き出してはもう遅かった。
結局、暴力を振おうとするさやかからフランを庇う形になって、さやかを独りにさせてしまった。
普通に考えれば、今は無力なフランに対して武器を取り出したさやかの方が悪いのだろう。
社会通念上はそうなるけれども、
しかしまどかには、あの時フランを庇ったことが、結果的にさやかを悪者にしてしまったのだとしか思えなかった。
だけど、ではあの場でフランを庇わなければ良かったかというと、それも間違いであると思う。

　全てが遅きに失して、やるべきことを怠ったから起こった、当然の帰結。

　苦いものが胸の中に広がる。悔しくて、情けなくて、まどかは泣きたくなった。

「ありがと」

　不意に投げかけられた感謝の言葉。まどかは面を上げる。

「そう言ってくれると、嬉しいわ」

「そんな、私は、ただ……」

　そう思ったからそう言っただけだ。フランに自分を責めてほしくなかったから。

「いいの。私が嬉しかったのは事実だから。ありがとね」

　こちら向いて微笑むフラン。

　穏やかな微笑みで、まどかはなんだかむず痒い気持ちになってしまった。
その目が少し潤んで見えたのは、きっと気のせいじゃないだろう。

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