過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:37:39.88 ID:J60wAoTTo

「喋るなよ」

 とその人は小声で言った。
 かちり、という音がして、辺りが微かに明るくなる。
 ささやかな灯り。ライターに火をつけたらしい。
 
 光は慰め程度のものだったけれど、それでも完全な闇の中では、たしかに役に立つ。

 そしてわたしは、相手の姿をようやく見ることができた。
 わたしは声をあげなかった。

「ひやひやしたな」

 とその人は言った。
 声をあげなかったのは驚かなかったからじゃない。
 
 あまりに混乱していて、自分が声を出すべきかどうかすら分からなかったのだ。




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