過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:29:26.95 ID:Mlv00GWXo

 彼の表情はあくまで真剣だった。
 わたしは強く混乱しながら、自分がどうしてこんなにも混乱しているのかについて考えていた。

 いいじゃないか呼び方くらい。好きに呼ばせてあげればいいんだ。名前なんてなんだっていい。
 それなのにどうしてこんなに嫌になるんだろう。不安になるんだろう。

 嫌だった。名前は。ここで名前を呼ばれると、わたしは。

「あの」
 
 不意に、シラユキが声をあげて、わたしの頭は空っぽになった。
 混乱は熱が引いたように去っていき、わたしは一瞬自分が何をやっていたのかさえ思い出せなかった。

「そのくらいにしてください」

 彼女は戸惑ったような表情で、静かに、強く、言う。
 男は舌打ちをして、億劫そうに頷いた。

「急ぎすぎたな」

 シラユキは、何も言い返さなかった。




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