過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 09:54:53.77 ID:6wN2+WcTo



 散歩を終えて自室に戻ると、いつものように手持無沙汰になった。
 とりあえず、机の上に置きっぱなしだった、読み止しの本を開いてみたりする。

 でも、ちっとも分からない。何が書いていあるのか、よくわからないのだ。

 集中できるできないとか、そういう問題ではないと思う。
 わたしにとって、本を読むのは簡単な作業ではないのだ。
 
 学術書だろうと、物語であろうと、読んだ感じはだいたい同じ。
 学術書は、身近に感じられるものがあったとしても、とても難しくてよく分からない。
 物語はというと、まずその「世界」が理解できない。

 わたしが実感を持って理解できるのは、この屋敷を中心にしたごく狭い世界の中に存在するものごとだけ。
 だからたとえば、「飛行機」だとか、「気球」だとか、「雪」だとか言われても分からない。
 この街の空には、飛行機も気球も飛ぶことがない。雪だって降ることはない。

 空にはただ雨が降り続いているだけだ。




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