過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
1- 20
189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:00:35.30 ID:wqPpjqSYo

 しばらく、部屋の中には何の変化もなかった。雨の音だけがずっと続いている。
 気付けばわたしは、本を読むのをやめてツキの方をじっと見つめていた。
 
 やがて彼は、やはり身じろぎひとつせず、顔もこちらに向けないまま、

「何か音楽を掛けてくれないか?」

 と言った。わたしは返事もしないかわりに反発もせず、音楽を掛けることにした。
 スピーカーから流れ始めたのはシーナ・イーストンの「モーニング・トレイン」だった。
 わざと明るい曲を掛けたのだ。なぜかは自分でも分からない。

 ……別に元気づけたいわけじゃない、と思う。

 それにしても、深く落ち込んだ様子の男の人が、「モーニング・トレイン」を静かに聴いているのは、少し滑稽だった。
 わたしは、こんなにも悲しそうに「モーニング・トレイン」を聴く人を、初めて見た気がした。
 もちろんそれは真実で、わたしは他の人が音楽を聴くところなんて、初めてみたのだけれど。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice