過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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271:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 07:44:03.88 ID:7IYKPM3ao

「それは、どこかからの帰り道で……たぶん学校からの、帰り道。
 いつも通る公園があった。晴れた日にはそこで、ふたりで話をしたりもした。
 でも、その日は、雨が降っていて、わたしとツキは、つまらないことで喧嘩してた。だから、公園には寄らなかった」

 そう、寄らなかった。通り過ぎようとした。

「でも、通り過ぎようとしたとき、鳴き声が聞こえた。公園の、ベンチの下から。
 小さな動物の鳴き声。雨音にかき消されるほど弱々しくて、小さな声。
 わたしはたしかに聞こえたって言ったけど、ツキは聞こえなかったって言った。
 それでまた喧嘩になって、たしかめようってことになって……」

 そして、ベンチの下には、どこかで聞いた話のように、段ボールが置かれていた。

「底に敷かれた薄っぺらなブランケットの上で、まだ目も開いていない子猫が鳴いてた。
 白っぽい、薄いクリーム色がかった毛並をしていて、小さくてかわいかった。
 わたしとツキは、雨の中にその子猫を放っておく気になれなくて、段ボールを抱えて、慌てて家に帰った」



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