過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/04(火) 07:42:51.15 ID:10ecUgk1o

「そんな言い方をするということは、あなたは既に思い出しているはずです。
 自分が誰によって苦しめられていたのか。そのことをちゃんと理解しているはずです」

「……そんなの」

 ――どうしてそんなに、醜いのか。

 耳元で粘つくようなささやき声。
 でもわたしは、なるべくその声の主のことを思い出さないようにした。

「あなたの母親です。正確にいえば父親の後妻。あなたから見れば継母にあたります。
 実の母親は、あなたが立って歩けるようになった頃には亡くなっていましたから」

 シラユキはそこで一度言葉を切ると、吐き捨てるような調子で続けた。
 わたしは彼女のそんな声を、初めて聞いたような気がした。

「あまり気分の良い話ではありませんから、細かい部分は割愛しましょう。
"それ"は日常的に繰り返されていました。父親の目がない時に。
 再婚した直後はそうでもなかった。でも、それに関してもさまざまな要因があったのでしょうね。
 あなたの方も、誰にも言うことはできずに、ただ投げつけられる言葉に耐えていました」

 それ以上何も聞きたくなかった。どうしてこんな話をしているのか、分からなくなってしまう。




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