過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:44:02.57 ID:YX4Y62yro

「あなたがここに残ることを決めるというのなら、わたしはそれに従うしかありません」

 怒ったような声だった。少し、震えているようにも聞こえる。
 わたしの胸は少し痛んだ。どうして痛むんだろう。わたしはほとんど死んでいるのに。

「あなたはこの屋敷で暮らしながら、そのときが来るのを待てばいいだけです。
 ただ、その前にひとつだけ言っておくことがあります。
 ツキがこの世界にやってきたのは、なぜだと思いますか?」

「……それだって、わたしの妄想の一部でしょう?」

「さっき言った通り、この世界では人口の増減は起こりません。ツキは最初、この世界に存在しませんでした。
 もし彼が現れたのなら、それは他のどこかから来たということです。やってくることができた、ということです」

「……それが?」

「……それすらあなたにとってどうでもいいことなら、もう何も言いません。責めるつもりも、ありません。
 あなたにとって、それだけ現実が決定的だったんだと解釈します。
 ただ、これはそうした決定とは無関係のこととして聞いてください」




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