369:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 07:19:46.62 ID:Z1eyICRMo
見かねたように、ツキは言う。
「行けってば」
彼は悲しそうに笑った。わたしは何がなんだか分からなくなってしまう。
自分が何を望んでいるのかすら、分からなくなった。
少なくとも、ツキがいなくなることを望んだんじゃない。
だったらなぜ無理矢理にでもツキを連れていけないんだろう。
もっと必死になって説得できないんだろう。
その答えだってちゃんと分かっていた。
だからわたしは、その場をあとにするしかなかった。
「じゃあな」
ツキは最後に、また笑う。わたしは悲しくなった。
わたしは、どうしてこんなに自分のことしか考えられないんだろう。
でも、こんなときにさえ、わたしの心のなかには、褪めたような思いがあった。
それだってもう、あと少しで終わるのだ、と。
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