421:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 06:55:13.17 ID:gz5u5IpNo
◇
「ツキは石ころじゃない」
とわたしは言った。そう言った瞬間、前後の記憶がひどく曖昧なことに気付く。
なぜわたしは、不意にそんなことを口にしたんだろう。
それから、世界に光があることを、ふと意識する。
それまでと変わらず、赤みがかった頼りない灯りだ。
その光は大きな影をも作り出していた。
それがあることで、よりいっそう影を際立たせてしまうような光。
でも、何はともあれ、それが光であるのは確かだ。
光がある以上は、まったくの暗闇というわけではない。
影は闇ではなく、光のひとつの性質であり一面だ。
机の上の燭台。そこに刺さった蝋燭。その先の炎。
あの部屋の中に、わたしはいる。
そうやって、視界の中の情報を連結させていく。
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