過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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522:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/19(水) 07:57:24.06 ID:mRUgB+/xo

 ふと立ち止まったかと思うと、彼はわたしを振り向いた。
 右手で拳銃を握り、左手でわたしの腕を握っている。
 
 傘もささず、雨に濡れたまま。

「俺はお前のことが好きなんだよ。だからお前がいなくなったら悲しい。
 勝手な話かもしれないけど、お前に生きていてほしい。
 だから俺はこんなところまで来たんだと思う」

 なぜだろう。
 彼の表情が、シラユキのそれと重なった。

「本当は分かってるんだよ。このままじゃ、帰ったって意味なんてないって。
 強引に連れ帰ったって、結局同じことの繰り返しなんだって。お前が納得しないといけないんだって。 
 だからって、なにもせずにはいられないんだよ。このままじゃ、俺まで世界を嫌いになりそうなんだ」

 ずぶ濡れで立っている彼の姿は、雨の日の捨て猫みたいに見えた。


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