542:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:38:00.40 ID:gFrmtBDeo
わたしは少し戸惑った。
隠し事をしているとか言い忘れていたことがあるとか、そういうことなら、別に驚かない。
でも、シラユキがわたしに嘘をつくなんてことを、わたしは想像すらもしていなかった。
想像していたとしても、どこか実感のわかない空想のようなものとして扱っていた。
「驚くのも、無理はないと思います。シラユキは、本当は嘘をつきませんから」
「……どういう意味?」
違和感。
“わたしは”ではなく、“シラユキは”、と彼女は言った。
どこから説明すればいいかわからない、というふうに、彼女は眉を寄せた。
木々は奇妙な静けさをまとっているのに、雨の音がいやにうるさかった。
「まず最初に、ツキが処刑されかけたときのことです。
侵入者がとらえられたあと、処刑されるタイミングというのは、下界の規則で決まっているんです。
わたしは、わざとツキの処刑が行われる少し前に広場に着くように、準備に掛かる時間を調整していました」
「……わざと時間を掛けていたってこと?」
「はい。もちろん、ぎりぎりにならないようにしましたが」
それじゃあ、何かのアクシデントが起こってわたしたちの到着が遅れたり、処刑の時間が早まっていたら……。
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。