581:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:33:26.07 ID:seth9kfao
「たぶん俺も、もっとお前にいろんなことを言うべきだったし、いろんな態度を示すべきだったんだろうと思う。
でもそれは手遅れじゃないって思うんだよ。お前がもう一度、俺のところに来てくれさえすれば……」
それから彼は思い直すように頭を振った。わたしは悲しい気持ちになった。
「そうだね」
とわたしは言った。わたしはそうすることもできるのだ。
でも、あの輪郭のぼやけた向こう側の世界に足を踏み出すのは、怖い。
強い風の声と、激しい雨の音。
凍えるような寒さと、深い暗闇。
「もしも、もう一度機会があるなら、今度は、雨が止んでも一緒にいたい」
ツキは最後にそう言って、自嘲するように笑った。
今にも泣き出しそうな、迷子みたいな表情だった。
そうだなあ、とわたしはぼんやり思った。
そうなれたら、わたしもきっと嬉しいのだと思う。
もしも、そんな機会があるならば。
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