過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/22(水) 08:18:58.09 ID:vaaX809Zo

「でも、何も盗まれてはいなかったそうです」

「盗まれていない?」

「はい。お金も食べ物も、服も貴金属も、何も、です」
 
 そもそも金目のものを狙うなら、こんな辺鄙なところではなく、もっと都会の方で盗むでしょうし。
 どこか白々しい口調で、シラユキは言った。
 彼女の態度は、何かを盗む人なんているはずがない、とでも言いたげだった。
 そこには確信に近い何かが宿っている気がした。

 怪訝に思いつつも、わたしは質問を続ける。

「でも、じゃあ、仮にその目撃された人影が本当だったら、何が目的なんだろう?」

 外では雨が降り続いている。雲が青白く浮かんでいた。
 窓を叩く雨粒の音が、静寂よりはましに思えた。




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