過去ログ - 【マジェプリ】もしもイズルが一週間いなかったら
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540: ◆jZl6E5/9IU[saga]
2013/07/05(金) 00:30:39.96 ID:l6PNrR0W0
「す、すみませんでした」

顔を上げて、ようやくそんな言葉を返すと、イズルはまた頭を垂れた。
……仕方のない子だ。
心の中で、呆れ気味に呟く。
私は怒っている。もちろん、授業中の行為もだが、もっと別の理由もある。

「君は、将来戦うのよ? 自分を生き残らせるためには、備えなくてはならない。分かるわね?」

「……はい」

そう、私は…どちらかと言えば、心配をしていた。
これは彼に限った話ではないが、私にとって、この学園の生徒たちは全員が気にかかる存在だった。

私は昔、パイロットとして、前線で戦っていた。
現在は違う。敵との戦いで私の部隊は全滅し、私はもう二度とパイロットとしてはいられなくなった。
そんな私がここに来たのは、唯一部隊で生き延びた私の経験を伝えて、将来の兵士たちに少しでも生きて欲しいからだ。

だから、生徒たちには真剣でいて欲しい。
戦って、戦い抜いて。その先の人生を生きていて欲しいから。
…これは余計だったわね。この子たちに、未来はないのだから。
そう自らの考えを評価しながら、私は回転式の椅子を後ろに回す。
いつまでも説教をする必要はない。

「…もういいわ。今日はもう帰りなさい」

「し、失礼します……」

私の声に、何度か礼をしながらイズルはその場を去った。
私以外に誰もいない部屋で、一人、外に目をやる。
空は今日も変わりなく、街の方も平和な世界であることだろう。
今、この瞬間も宇宙では誰かが死んでいるのに。

「……」

無言のまま立ち上がり、私は部屋を後にする。
もう今日の仕事は終わりで。後は――友人に会うだけだ。


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