22:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/05/27(月) 02:37:52.15 ID:4jEaxKY40
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あれから一カ月が経過していた頃だと思う、今から振り返れば一年と二カ月前ほどの事だった、
初めに誘自身が僕の家に直接来ることに少なからずも驚いた僕だったが、
(あの小説にだって書いていることだが、僕の小説はデータとして東京にある出版社へと送る、勿論CDに焼いてパッキングすることを忘れない、
僕が実際に出版社に行くのはあくまでも急ぎの仕事のときだけである、それでもいまだその時が来た回数と言えば少ない、
無論少ないに越したことはないのだが。)
それもまた、違和感が無くなっていったというか、慣れとは恐ろしいものである、
いや、こんな風に書いてしまったらそれこそ都合の良い小説のようではないか、
それは違う……と思いたい、
いや確かにそれこそ現実なのだが、これ以上に言いえて妙な言葉が思いつかない、要は私の力量不足なのだが、
慣れとは恐ろしい、久々に実感した瞬間であった、
今思うとあの時どうして僕は何も感じなかったのだろう、恐ろしいと言うよりかは、怖いくらいに。
ともあれ、一カ月の間に、僕と誘の仲が進展するという事は余りなく、それどころか距離を置いていたように思う、
まあ無理も無い、僕は僕で未だぎこちなく、あの時を恥じていたのだ、
僕が十一年前、彼女に言った言葉を、忘れていたことなど断じてない、
あの事件は僕にとってのトラウマであり、(正確にはもう僕の中では物語として昇華してしまっているようなものなのだが。)
僕にとって忘れる事の出来ない出来事だという事を、
一年前にそう言ったはずだ、むしろ忘れるものか、あれ程僕は大見得を切って、彼女に誇らしげに、
「幸せになってもいいんだ」
なんて言ってしまったのだ、
誘はとっくに幸せだったのかもしれないのに、そういう所はやはり僕だった、僕らしく、どこまでも僕だった。
何時までも気にすることではないと、そう思っているのは確かだが、
兎も角、僕はその時誘を嫌ってなどいなかったが、少なくとも苦手だった。
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