3:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/05/19(日) 03:24:47.19 ID:jRCvLuzT0
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一年前、僕の担当編集者が寿退社をしてしまい、担当編集者が変わった、夕暮誘、若くして入社、期待の新星などとレッテルを張られてしまっている可哀想な彼女だが、
どうやら自分から僕の担当編集になると迫ったようで(もちろん、彼女の優秀さと努力家な所も又、相まって、らしいが)だがしかし、そんな気楽に僕の担当編集者になったのが最後、
彼女の運も実力も、ここで尽きるかと思われたりもしていたらしい、実際に少なからずそういう気も僕にはあった。
しかし、驚く事に彼女の優秀さは群を抜いていて、それは僕が思っていた以上であったのもまた事実なのだが、最近はよく、僕の家に入り浸っていたりする、
無論、僕が強いている訳ではない、断じてない、絶対にない、僕の尊厳と彼女の身の潔白の為にも、言わせてもらおう、断言させて貰おう、彼女は決して、誓って、
そういう関係性ではなく、そんな小説のような関係ではなく、担当と作家、それ以上でも、それ以下でもない、もっというなら僕からしてみれば担当編集者以上、担当編集者以下、という所なのだ。
そして彼女から言わせてみれば。
「私がちゃんとしなければ、柿本先生の本が読めなくなっちゃいますから。」
「それは嫌です、から。」
どうにも期待されているようだ、その時僕は苦虫を噛み潰したような顔をしていたとかしていないとか、
いや、また、そんな小説のような表現をしてしまったが、要は、簡単に言って、とても嫌な顔をした。
僕は人に期待されるのが一番嫌なのだ、だからその時はそういう顔をしてしまったのだが、その時の彼女の怒り様と言ったらなかった、人生で初めて、
笑いながら、笑顔のまま、微笑みながら静かに怒るというのはああいう事を言うのだろうか、それとも、ただ彼女が異質なだけだったか。
僕はそれを見た。
それでも、きっとそんな彼女を見て小説に使えると思った僕は完全に変人そのものだった。うん。
その後僕がこっ酷くお叱りを受けたのは言うまでもない。
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