10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/21(火) 16:19:46.34 ID:1Ac64vbSo
「それで先輩、今日は朝から浮かない顔なんですか」
「こたつって寝始めるのには最高なのに、いざ一晩過ごしてみると全然疲れが取れなくて『詐欺だ詐欺!』って言いたくなるな……」
凝った肩と首筋をぐりんぐりんと回しながら、やえと初瀬は社内大掃除の準備を進めていく。
岡橋初瀬――晩成高校時代からのやえの後輩だ。
高校を卒業してからは殆ど交友も無くなっていた二人だったが、偶然この広島支店で再会してからはかつてのように親しくしていた。
「せんぱーい、肩揉んであげましょうか?」
「あー、お願いしていいか?」
「ふふふ……私結構テクニシャンですからね〜」
「おお……これはなかなか……」
ニコニコと笑みを浮かべながら自分に奉仕してくれる後輩を可愛く思う。
もう十年も前になるあの頃を思い出しながら、時が経つのは速いものだな、とも。
「これ、相当硬くなってますよー。今日だけじゃなくて、普段から肩重いんじゃないですか?」
「んー、どうも最近疲れが抜けなくてなぁ……もう年かな、私も」
「いやー、お互い年は取りたくないもんですねぇ。化粧のノリも悪くなってきちゃって、私も加齢を感じますよ……
それにここ二年くらい、実家に帰るたびにいい人はいないのかとか、孫の顔が見たいとか、そっちの方のプレッシャーもなかなかで……」
「分かる。分かるぞそれ。……辛いな、うん」
はぁー、と二人してため息。今更言うまでもなく、二人とも独り身――どころか、異性の影も形も見えない有様だ。
ひしひしと迫る三十路という現実――いや、ここはまだ敢えて目を背けることにしよう。
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