過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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148: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/30(木) 23:40:21.31 ID:rM6FpdA8o
領主に覚えた嫌悪感はもうない。
屋敷の地下に、文字通りの『魔性』の女を囲っていた事も驚きだったが、それ以上に引っかかることがある。
彼女は、自分はともかく……領主を見て、『初めまして』と言った。
五年間に渡り、恐らくは毎日繋がれていただろう、領主に向けて。
惑わすための舌、あるいは皮肉を効かせたのかとも思った。
しかしその割には、口調にも表情にも嫌味はなく、不自然な程穏やかだった。

出口のない堂々巡りの疑問に頭を働かせていると、いつの間にか、領主が寝室へ戻って来ていた。
素裸の上にガウンを纏い、汗をかき、少しだけ息を乱している。

領主「つまらない男だな、貴様は。それとも、『淫魔』と聞いて縮み上がったか?」

騎士「……領主殿。あなたは、夜毎に……?」

領主「ああ、そうだとも。毎日餌をやっているんだ。それとも、『止めろ』とでも言うのか?」

騎士「なら、なぜ……」

領主「あ?」

騎士「なぜ、彼女は『初めまして』と……?」

領主「行く度に言われるわ。よほど脳の巡りが悪いのだろ。……そろそろ飽きて来たがな。貴様ももう寝ろ」

騎士「……はっ」

領主「まったく……勿体ない事をしたものだ。まぁ、好きにするがいい。その鍵はくれてやる」



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