過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/22(水) 00:13:51.10 ID:GshVNNRdo
翌日の昼前、四人は魔王の城、いよいよその門前に立った。
沼地を超えるにあたり、邪魔は入らなかった。
それでも地獄の淵のような泥濘は、縋り付く亡者の手のような感触だった。
腐草が溶け込む悪臭の湿地には虫の声さえなく、
不気味に蠢く枯れ木と怪鳥の鳴き声、天を取り巻く暗雲の唸りだけが聴こえた。
ここに、人界の道理はもはや存在しない。
魔王を、その居城を中心に世界が作り変えられている。
ここは――――魔界だ。
四人は並び、頷く。
ここに比べれば、腹を空かせたドラゴンの鼻先でさえ、『安全』な場所だろう。
勇者が指先を固く閉じた門へと向けると、その間を蒼白の閃光が駆け抜け。
――――轟くよりも早く、雷が魔城の門を砕いた。
それは雷の征矢であり、鏑矢だ。
砕くとともにその雷鳴は、名乗りの役目をも果たした。
四人は、ピリピリと毛羽立った空気を意にさえ介さず、破片を踏み越えて城内へ往く。
鎧に火花が走り、重ねた着衣がパチパチと音を立て、頬を電気の針が刺しても、
誰一人、表情を歪めはしない。
ただ暗闇の城内にひとりでに、道筋を示すように灯った燭光に従って進む。
四人きりの『進軍』に迷いは無い。
やがて進むうちに、暗闇の中から『近衛』が現れた。
三叉の槍を携えた、圧倒するような巨躯の悪魔族。
白銀の体毛に包まれた、全てを停滞させて見せるほど敏捷な魔物。
土くれからつくられた、手首でさえも柱のように太い、巨人型の魔法生物。
亡霊を閉じ込めた、中身など存在しない魔の甲冑。
散々に手を焼かせられた怪物たちが、懐かしい顔ぶれのように、四人を囲む。
四人は黙って武器を構え、誰からそうするでもなく、背を預け合う。
勇者「――――『ガンガンいこうぜ』」
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