過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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152: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/30(木) 23:44:42.26 ID:rM6FpdA8o
淫魔「? 帰る場所、無いって?」

騎士「我が父から継ぐはずだった、一族の屋敷は取り上げられた。今や……もう、私の生家は無い」

淫魔「ふぅーん……?」

騎士の父は少し前に病死している。母はさらに数年前、病で去った。
その時、ある遠征軍の司令官を務めていた。
しかし……敵要塞を一息で陥落できるという所まで追い詰めたところで、無念にも死の運命に追いつかれてしまった。
側近にも、そして息子である騎士にも病の事を伏せていたため、軍はおろか、王までもが凍てついた。
彼の死をきっかけに遠征軍は混乱、一時撤退を余儀なくされ、その一件でここぞとばかりに咎めを受け、
とうとう屋敷は取り上げられ家名は没落、もはや立て直す事は到底不可能。
そんな折――――辺境領へと赴任させられる事となった。

この話を彼女にしても戸惑うだけだと思ったから、口にはしなかった。
そもそも雪ぐ機会の失われた屈辱と向き合う事に、意味などない。
向き合えば向き合うだけ、自分の心を痛めつけるだけだ。
認めて飲み込んでしまっても、消化はできない。それは錨のように、心を重く繋ぎ止めるだけでしかない。
受け容れず受け止めず、流す事しかできない事は間違いなくある。

だが、彼女が食いついたのは……そういった事情ではなく、至極単純な所だ。

淫魔「あの、お父さんがいるって……どういう感じなんです?」

騎士「……『淫魔』に父親はいないのか?」

淫魔「それがですね、昔……お母さんに訊いたら。知らないって言われました〜」

騎士「?」

淫魔「気付いたら、私がお腹にいたそうです。……いつできたのかも分からないって〜」


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