過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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217: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/06/04(火) 03:36:35.79 ID:E/Gr+tAqo
淫魔「いいねぇ。『国』に戻るのも久しぶりだわ」

懐からあの時の林檎の種を取り出し、掌に載せて夕日に差し出し、照らす。

淫魔「……アタシ、不器用なんだよなぁ。枯れるかもな」

思わずぼやいた時、祝福の鐘の音が聴こえた。
今二人の『淫魔』がいる忘れられた廃教会ではなく、村にある、真新しい教会の鐘楼からだ。
そこではきっと、『神さま』が見てくれているはずだ。

淫魔の国には、女性型の『淫魔』のみが住む。
だから――――――『婚礼』が行われる事は、ない。

淫魔2「さぁ、行きましょう? 飲み明かすわよ」

虚空に開いた扉へ、二人目の『淫魔』は音も無く滑り込んでいく。
それから遅れて、数秒。
真鍮の脚の『淫魔』は、灯りがともされた村の広場にいる、一組の男女をもう一度だけ見た。
『彼』と『彼女』は、死が二人を分かつ時まで共にいて、子を為して、数十年の時を共に老いるのだろう。
子の成長を二人で見届け、いつか盃を交わす一時があるのだろうか。

祝福を受ける男女に、彼女が人知れず贈っていた言葉がある。
何百、何千年を数えても、その願いが揺らいだことはない。
そして、今も言葉に乗せる。


淫魔「――――末永く、お幸せに」









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