過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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44: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:35:34.18 ID:4RdAMvYao
斃れた魔界騎士の亡骸は、蒼炎に包まれて虚空へ溶けていった。
その様を、僧侶は昇天する霊魂へそうするように、見送った。
最後の『魔界騎士』を討ち果たし、彼の言葉を信じるのなら……これで、彼の種族は滅んでしまった。
元の数が、どれだけかは分からない。
だが、彼と同等の存在が――――魔界には、珍しくも無かったのだろう。
そして、恐らくは彼をも凌ぐ『魔王』が回廊の先、大扉の向こうにいる。

三人が全く同時にそれを見つめると同じくして、魔城を震わすような雷の轟きが鼓膜を痺れさせた。

魔法使い「っ……行くわよ、早く!」

僧侶「は、はい!」

戦士「連戦は慣れたつもりだが……流石に、これは……な」

魔法使い「いいから、早く! 早く、しないと……!」

急き立てるように魔法使いが言うと、限りなく消耗したはずの二人は、駆けた。
それを追うように魔法使いも走り出し、正面に見える大扉を目指す。
そこには、『暗雲』と『雷』が、今まさにもつれ合っているはずだ。
『蒼空』をめぐった最終決戦の幕は、もう上がっていた。

まやかしでもなんでもなく、走るほどに扉は近づき。
近づけば近づくほど、その扉は大きく見えてきた。

辿り着き、戦士が体当たりをするように扉を押し開ける。

こちらに無防備な背を向けて立つ、『魔王』の姿がまず、あった。
その向こうには……『勇者』が臨戦態勢で、立っていた。

勇者「挟み撃ちだな、魔王」

彼は、『ようやく来たか』とばかりに笑い、到着した三人の仲間たちに目配せした。
三人もそれを返し、直前の消耗を振るい落として、魔王の背へ刃を向ける。
こうしていても、魔王に『死角』は無い。
全身これ魔眼の塊とでも云うかのように、張り詰めた殺意が三人を襲う。
だが、『いきなり』ではない。

直前の、あの誇り高き最後の魔戦士との決斗が慣らしてくれた。
むしろ、『四人』で戦えるという、安心までもがある。

――――――そして、『決戦』の幕は上がる。


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