過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/25(土) 02:26:08.40 ID:QKtUJVFRo
もう一口、ワインを含んだ。
少しだけ、少しだけ……さっきよりも甘く感じて、どこか潮風を思い出すような芳醇な香りが、口から鼻を抜けた。
魔法使い「……現実味、無いのよ」
王女「? と、おっしゃいますと……」
魔法使い「まさか、自分が『勇者』の一行に加わってさ。『魔王』を倒しちゃったなんて。おとぎ話じゃん」
王女「でも、あなた方はそれを為遂げた。偉業です。……喜ぶ事ができないのは、ご尤もですが」
魔法使い「ありがと。もしもあたしの銅像作るんなら、美人にしといてほしいわねぇ」
王女「謙遜なさらずとも、魔法使い様は……お美しいですよ」
魔法使い「あんたに言われるとイヤミよ、もう」
ふてくされるように言ってからワイングラスを空けてしまうと、直後、彼女の侍従から別のグラスが差し出された。
引き替えるようにしてそれを受け取り、口をつける。
今度は、レモンを使った果実酒だろうか――――酸っぱい香りに反してとろりと甘くて、後味は少しほろ苦い。
魔法使い「……ありがと」
礼を述べると、彼は霜のような髭を僅かに揺らして、すぐに身を退いた。
片眼鏡の似合ういかにも老紳士といった風貌で、身のこなしや礼装の着こなしにも、まるで隙が無い。
もっとも……そうでなければ、『王女』の従者など、できるはずもない。
魔法使い「そうよね。これって……『偉業』なのよね?」
王女「はい」
魔法使い「じゃあ、さ……何で、こんなに……嬉しく、ないのかな。誇らしくないのかな」
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