過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』
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203
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CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:32:37.42 ID:w4dUq9e30
...しかし、何かがおかしい。桃色の繊維の海に投げ出された、これまた同系色をした鉄塊は、先程までとは異なった様相でそこに転がっていた。
盤面を覆う厚い硝子には、一本の大きな罅が入り、それに沿うようにして長い溝が、鉄製の躯体にくっきりと刻み込まれていた。余りにも不可思議な、全くあり得ないほどの傷跡。
以下略
204
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CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
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2013/07/15(月) 00:38:30.22 ID:w4dUq9e30
このような珍事を...まだ15にも満たぬ少女が......しかも生身の腕のたった一振りで、起こしたとでもいうのか。...いや、その様な芸当の出来る子では無い。
それでは何か。全く別の人間...それとも人ですらない何かが、この布団に包まり、息を潜めているとでもいうのか...。
以下略
205
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CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:41:21.61 ID:w4dUq9e30
...成る程。確かにベッドの上にもまた、一種異様な様子である。敷布団の上にある膨らみは異常に大きく、華奢な身体つきの少女では到底足りそうもない程の体積を有している。更に所々から見え隠れする黒茶色の...棘であろうか、明らかに人間の有するものではない。もっと...別の何か......。
206
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CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
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2013/07/15(月) 00:43:52.36 ID:w4dUq9e30
だがしかし、これは真に奇怪な話であるが、件の少女はそこで眼を開いた。昨晩、自ら潜り込んだこのベッドの上で、間違いなく少女本人の意識が、深い眠りから醒めたのだ。
...今、何時だろう? まさか、寝過ごしてはいまいか?
以下略
207
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:47:33.84 ID:w4dUq9e30
寝起きだからであろうか、自身の身に起こった異変に全く気付かぬ少女は、体を何一つ動かすことなく、視線のみを頭上に置かれた目覚まし時計へと合わせた。
読者諸君は既に御存知の通りだが、本来そこにあるべきものは、見るも無残な姿形で絨毯の上に転がったままである。
当然、少女の目先にあるのは、ぽっかりと空いた空間と、そこを取り囲むように配置された縫いぐるみのみであった。だが、さほど当惑した様子ではない。
以下略
208
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:49:54.41 ID:w4dUq9e30
そう思いながら彼女は上半身を捻り、ベッドの縁から顔を覗かせようとするが、アラララ、どうして上手くいかない。それならば、体全体を駆使すれば良いことだと、今度は反動を付け、床に向かって大きく寝返りを打とうと試みた。
...またしても動かすことは叶わなかった。ここいらでようやく、少女は我が身に起こった異変に気付き、訝しみ始めた。よくよく観察すると、体のどこもかしこも...小指の一本でさえ、曲げることが出来ない。金縛りに合うとこのような症状があるが、それとはまた違った、何とも奇妙な感覚...。
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209
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:52:40.33 ID:w4dUq9e30
この違和感は、未だ湖底で燻る彼女の意識を急上昇させるに充分過ぎる刺激となった。一気に体中の神経が鋭敏さを増す。
だがそれは同時に、少女に余りに残酷な現実を突き付けてる事となった。体中の異変が次々と露わになっていく...。
以下略
210
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:55:29.95 ID:w4dUq9e30
少女特有の、白くきめ細やかな柔肌は、固く歪な甲羅の様なものへと姿を変え、肩まで伸ばしていた髪はすっかり消え去っていた。頭上には、全身の神経の全てをそこに集中させたかの如く敏感な、二本一対の角が垂れ下がっている。
しかし、何より最も不自然であったのは、夥しい数に膨れ上がった関節と、骨格であった。背骨の一つ一つはまるで大きく、はっきりとその形を認識することができ、尚且つそれが足の先まで続いている。
以下略
211
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:56:06.70 ID:w4dUq9e30
少女特有の、白くきめ細やかな柔肌は、固く歪な甲羅の様なものへと姿を変え、肩まで伸ばしていた髪はすっかり消え去っていた。頭上には、全身の神経の全てをそこに集中させたかの如く敏感な、二本一対の角が垂れ下がっている。
しかし、何より最も不自然であったのは、夥しい数に膨れ上がった関節と、骨格であった。背骨の一つ一つはまるで大きく、はっきりとその形を認識することができ、尚且つそれが足の先まで続いている。
以下略
212
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:58:41.04 ID:w4dUq9e30
>>211
誤投下。失礼しました。
213
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:00:57.94 ID:w4dUq9e30
昨日まで確かに存在した二本のしなやかな腕は、その指先に至るまで姿を隠し、胸から爪先にかけて二列に並んでいる無数の器官が、その代用を務めているようだ。
その他肋骨や肩甲骨、骨盤などはさっぱり抜き取られた様子で...全く、これでは人間とはとても呼べぬ何か、おぞましい生物へと変わり果てたみたいではないか。
以下略
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