過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』
↓
1-
覧
板
20
211
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:56:06.70 ID:w4dUq9e30
少女特有の、白くきめ細やかな柔肌は、固く歪な甲羅の様なものへと姿を変え、肩まで伸ばしていた髪はすっかり消え去っていた。頭上には、全身の神経の全てをそこに集中させたかの如く敏感な、二本一対の角が垂れ下がっている。
しかし、何より最も不自然であったのは、夥しい数に膨れ上がった関節と、骨格であった。背骨の一つ一つはまるで大きく、はっきりとその形を認識することができ、尚且つそれが足の先まで続いている。
以下略
212
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 00:58:41.04 ID:w4dUq9e30
>>211
誤投下。失礼しました。
213
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:00:57.94 ID:w4dUq9e30
昨日まで確かに存在した二本のしなやかな腕は、その指先に至るまで姿を隠し、胸から爪先にかけて二列に並んでいる無数の器官が、その代用を務めているようだ。
その他肋骨や肩甲骨、骨盤などはさっぱり抜き取られた様子で...全く、これでは人間とはとても呼べぬ何か、おぞましい生物へと変わり果てたみたいではないか。
以下略
214
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:03:25.12 ID:w4dUq9e30
少女はこの驚くほど奇妙で、この上なく奇怪な事変に、えも言えぬ恐怖を覚えた。恐怖を覚えたのだがしかし、そのままにしておくわけにもいかない。
隣人がいつ部屋にやって来るのか分かったものでないし、持ち前の好奇心...怖いもの見たさとでもいうか...は、彼女を突き動かすには充分な動機となった。
以下略
215
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:07:05.19 ID:w4dUq9e30
一呼吸おき、微かに残った理性を保ちつつ、ゆっくりと首を動かしにかかる。関節の一つ一つを意識し、細かい所作に気を配りながら、慎重に顎先を胸へと擡げていく。
すると段々に、視線は天井から体の方へと移り、ついには眼前に自身の腹を見据える位置まで持って来ることが出来た。
以下略
216
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:09:06.36 ID:w4dUq9e30
一部ではあるものの、体を動かせた事に安堵するも一転、その奇怪なる光景を目の当たりにした瞬間に、少女は愕然とした。恐怖なぞとうに飛び越えて、戦慄さえ感じた。
217
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:11:18.12 ID:w4dUq9e30
そこにいつもの見慣れた風采は存在しなかった。あるのは、目覚ましを黙らせた際に乱れたのだろう掛布団の隙間から覗く、何本もの支柱で区切られ、丸まった茶色い腹と、その脇に並ぶ細い脚の群れ。
足先は背と一体と化して一本の尾となり、先端には鋭利な針が突き出している。...そして極めつけは 、対面に立て掛けてある姿見に写る、変わり果てた彼女の、顔。
以下略
218
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:12:57.18 ID:w4dUq9e30
アァ、なんと嘆かわしい事であろうか! 少女はたった一夜にして、その華麗な姿から、見るもおぞましい毒虫に変身してしまったのだ。
以下略
219
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:15:12.21 ID:w4dUq9e30
...茫然自失。暫し何も考えられなかったが、ハッとした瞬間、彼女の頭はこの惨状を察するべく、矢継ぎ早に働き始めた。
無論、正常たる思考力と、判断力を兼ね備える彼女にとって、これらは受け容れられぬ事実であり、理解することなど到底不可能であった。
以下略
220
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:18:29.28 ID:w4dUq9e30
混乱の坩堝にはまった少女は、頻りに自問自答を繰り返すが、一向に答えが出る気配は無く、ただ時間だけが刻々と過ぎてゆく。
以下略
221
:
CG出版編集部
◆rSMipP4xr.
[saga]
2013/07/15(月) 01:20:17.71 ID:w4dUq9e30
突然の事に驚き、びくつき、慌てふためく。いけない、いけない。こんな格好、隣人は疎か、他の誰にも見せられたものじゃない。きっとすべてを失ってしまう。何とか、何とかしなければ...。
しかし、扉を挟んだ向こう側に佇む隣人が、この珍事に気付く事など当然あり得ぬ事で、 精々何も反応を見せない彼女を訝しむくらいのものであった。
以下略
246Res/88.23 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1369514826/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice