過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』
1- 20
72:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:28:11.65 ID:0+B2VJEk0
 そして...その中に猫が一匹、また私と目が合いました。

 恐らく陶器でしょうか。カフェオレ色した、ガラス眼の猫。

 ただひとつ違うのは、この子は笑っていることでした。
以下略



73:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:33:02.04 ID:5fo++UIs0
 私が頭の中にある点を、線で結ぼうと思案していると、

「文香君?」

と、入口に手を掛けているあいさんに呼ばれ、慌ててその後を追いました。
以下略



74:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:38:36.98 ID:5fo++UIs0
 お店のドアを開くと、コーヒー豆の芳醇な香りが私たちを出迎えてくれました。

 店内は店構えと同様にカントリースタイルでまとめられ、所狭しと置かれたコーヒー豆と道具の数々が目に付きます。

 ...そしてここにもやはり、大小様々な置物の猫が所々に居座っていました。
以下略



75:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:42:45.15 ID:5fo++UIs0
 あいさんはあいさつもそこそこに、素早く用事を済ませ私の買い物を付き合ってくれました。

 お勧めの道具やコーヒー豆を選び、そしてカップも新調しました。

 それぞれオレンジ、青、ピンクのストライプ模様のコーヒーカップ。見ているだけで少し幸せな気分になります。
以下略



76:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:47:15.13 ID:5fo++UIs0
 帰り際、年輪を重ねた女性店主に猫の事について尋ねてみました。

「あれはね、コーヒーを運んでくる猫って呼ばれてるのよ」

 ...コーヒーを運ぶ猫?
以下略



77:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:51:47.83 ID:5fo++UIs0
 私が会った猫は笑ってはいませんでしたが、それまでの出来事を彼女に話すと、

「そう、それはよかった。その子は決して悪いことは運んでこないから安心おし。

...そうだ、それじゃあこれを持って行きなさいな」
以下略



78:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:56:34.44 ID:5fo++UIs0
 さて寮に戻ると、あいさんがコーヒーの淹れ方を教えてくれることになりました。


 使うのはフレンチプレス。クレアが想い描いたクィン警部補との新しい朝の、引き立て役。

以下略



79:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:01:21.20 ID:5fo++UIs0
 まず始めに、お手本を見せてもらいました。

 ミルでコーヒー豆を挽き、フレンチプレス式の容器に入れる。

 沸点に達したものより、少しだけ低い温度のお湯を注ぐ。
以下略



80:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:04:34.89 ID:5fo++UIs0
 一連の動作を手際良く済ませたあいさんは、

「今日行った珈琲屋で聞いた話なんだがね、」

と切り出し、
以下略



81:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:09:38.43 ID:5fo++UIs0
 二つのカップに注ぎ込まれたコーヒーから立つ湯気が、辺りに薫香を運びます。

 口に運ぶと広がる濃厚な風味。喉を通る感触はまさにあの時、切望したものそのものでした。


以下略



82:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:13:09.04 ID:5fo++UIs0
 そして、次は私が淹れる番。

 あいさんを手ほどきを受け、ぎこちなくも順調にフレンチプレスを用意しました。

 そして砂時計を逆さにすると、私が想うべき人の姿を模索し始めます。
以下略



246Res/88.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice