過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』
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77:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:51:47.83 ID:5fo++UIs0
 私が会った猫は笑ってはいませんでしたが、それまでの出来事を彼女に話すと、

「そう、それはよかった。その子は決して悪いことは運んでこないから安心おし。

...そうだ、それじゃあこれを持って行きなさいな」
以下略



78:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 03:56:34.44 ID:5fo++UIs0
 さて寮に戻ると、あいさんがコーヒーの淹れ方を教えてくれることになりました。


 使うのはフレンチプレス。クレアが想い描いたクィン警部補との新しい朝の、引き立て役。

以下略



79:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:01:21.20 ID:5fo++UIs0
 まず始めに、お手本を見せてもらいました。

 ミルでコーヒー豆を挽き、フレンチプレス式の容器に入れる。

 沸点に達したものより、少しだけ低い温度のお湯を注ぐ。
以下略



80:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:04:34.89 ID:5fo++UIs0
 一連の動作を手際良く済ませたあいさんは、

「今日行った珈琲屋で聞いた話なんだがね、」

と切り出し、
以下略



81:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:09:38.43 ID:5fo++UIs0
 二つのカップに注ぎ込まれたコーヒーから立つ湯気が、辺りに薫香を運びます。

 口に運ぶと広がる濃厚な風味。喉を通る感触はまさにあの時、切望したものそのものでした。


以下略



82:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:13:09.04 ID:5fo++UIs0
 そして、次は私が淹れる番。

 あいさんを手ほどきを受け、ぎこちなくも順調にフレンチプレスを用意しました。

 そして砂時計を逆さにすると、私が想うべき人の姿を模索し始めます。
以下略



83:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:19:30.68 ID:PSV1IVwa0
 ...と、途端にノック音。そしてほぼ同時に、

「たっだいまー!!」

と勢いよく開くドア。
以下略



84:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:32:31.08 ID:JzXqO43z0
 卓上には4つのカップと、話題のチーズケーキ。控えめな甘さと爽やかな酸味が、コーヒーを一層引き立てます。

 穏やかな時間が流れる中、他愛も無い話で盛り上がりました。

 最近みくちゃんのラジオ番組が凄いらしい、などと話しているときです。
以下略



85:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:37:47.97 ID:JzXqO43z0
 そこにあるのは、実家から持ってきた短波ラジオ。

 父の青春時代の相棒だった品で、今のものの倍以上の大きさがあります。

 「たまにはラジオでも聴け」と言われ持たされたんでしたっけ。
以下略



86:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:40:41.49 ID:JzXqO43z0
 手元に引寄せ電源を付け、膨大な周波数からチャンネルを合わせます。

 プツプツとノイズが途切れる音をかいくぐり、海外の音楽番組が掛かりました。

 DJの軽快なトークと共に、異国の音楽が次々と流れて来ます。
以下略



87:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/05/31(金) 04:48:23.27 ID:JzXqO43z0
 すると、耳慣れた曲が聞こえてきました。

 バングルスの『胸いっぱいの愛』。

 音楽の好きな母が、カーステレオでいつもかけていた曲。
以下略



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