過去ログ - 洋榎「次鋒戦と副将戦が無くなるんやて」
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[saga]
2013/11/12(火) 00:29:18.27 ID:KGKKXQigo
由子「…………」
事実、それは由子のみならず、恭子にとっても好都合であった。
郁乃の言う通り、対戦相手が絹恵でなく洋榎であったなら、
この指切り勝負、由子が勝つ事は非常に困難だっただろう。
だが、相手が絹恵なら話は変わってくる。
そもそも、彼女はこの勝負に懐疑的だ。
また、由子や恭子の中には、ある1つの確信があった。
それは誰も血を流す事無く、由子が勝利する可能性……。
洋榎は絶対に絹恵を傷付けない
自らの指を切る事さえ厭わない洋榎でも、
絹恵の指切りを認める事は出来ないだろう。
少なくとも、躊躇いの心情は必ずある筈だ。
その事を上手く利用すれば、指を切らずとも自分が勝者になれる。
そんな狡猾的思考に自己嫌悪しながらも、由子はその可能性を探っていた。
恭子も無血決着≠させる為に、由子と似た考えを巡らせていたのだ。
黒服「絹恵様……」
黒服「先ほど真瀬様に申し上げたのと同様に、どうなさるかは全て貴女の自由です」
黒服「もし、自らの指を切る意思がおありなら、どうぞこの鋏を受け取ってください」
黒服「ですが、ここで絹恵様がこの鋏の受け取りを拒否するのであれば……」
黒服「我々はそれを試合放棄と見做し、即、真瀬様の勝利とさせて頂きます……」
絹恵「わ、私は……」
差し出された黄金の裁ち鋏を前に、恐怖し動揺する絹恵。
指切りを想像するだけで、体中から嫌な汗が溢れ出てくる。
ゆっくりと右手を鋏の前に翳すも、それに触れ掴む事は出来なかった。
黒服は暫くの間その様子を見続けた後、切る意思無し≠ニ判断をする。
黒服「この勝負、絹恵様の不戦敗により……」
洋榎「絹っ! 切る切らんは後で考えればええ!」
洋榎「今すぐその鋏を受け取れっ! はよっ!」
絹恵「っ!?」
洋榎の叫びに似た声に驚き、絹恵は咄嗟にその鋏を手に取ってしまった。
黒服「…………」
黒服「……それではこれより、指切り¥泄奄開始致します」
黒服「制限時間は特に設けていませんが……」
黒服「状況を見て我々が勝敗を判定させて頂きますので……」
冷気を纏った鋏を握り締め、唖然とした表情でその場に立ち尽くす絹恵。
これから起こるであろう惨劇を想像し、全身をガタガタと震わせている。
郁乃「イヒヒッ……。ショータイムの始まりやでぇ〜」ニタァ......
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