過去ログ - 岸波白野「もう少しあがいてみる」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/28(火) 02:20:45.16 ID:B3gqLEaT0
「駄目ですよ、センパイ」
「センパイが死んじゃったら、何にもならないじゃないですか」
「大体、ここに来て、センパイに何が出来るんですかぁ?」
「私がその性格悪いサーヴァントが防御壁に穴開ける時間は稼いであげますから」
「だから、お願いだから、黙って、そこで守られててくださいね…!」
絶望的な光景だった。視界一面を染める赤い色。
ゆっくりと広がり、中枢の異物を消去する壁の前に立ち、必死にそれを押しとめようとする少女。
私はその少女の事を知っている。 聖杯戦争参加者の健康管理AI、桜の同型機で、今回の事件を引き起こした張本人。
幾多のサーヴァントを取り込み、ムーンセルの中枢を侵した月の癌。 私との思い出の為にその身を削りながら中枢を目指した少女。BB。
圧し掛かる圧倒的な重量に体を軋ませ、体を構成するデータを焼かれ、それでもBBは引こうとしない。
それは、まるで砂漠に水を撒く様な詮の無い行為。
無限に広がる砂漠はどこまでも貪欲に彼女のデータを吸い尽くし
砂漠に撒く為の水は有限で、しかもそれは彼女の存在そのものと同義だった。
「――桜ぁ!」
駆け寄ろうとした足が動かない。
縛めを解こうと足掻く為の腕が動かない。
今の私に出来るのは、彼女の名前を呼ぶ事だけ。
「――はい。センパイ大好きですよ」
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