過去ログ - 【安価】エレン「オレが最強の兵士に?」アルミン「家族になりたい」3【育成】
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997:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/30(木) 08:23:24.80 ID:+HT0fDRq0
キーンコーンカーンコーン♪
 

学校でほぼ3年間聞き続けたチャイムの音が聞こえてきた。
F=06エリアの南村役場にいた鳥江葉月(女子9番)は、デジタルの腕時計を見て時計を合わせた。
午後6時、最初の放送だ。

「あの2人だけだといいけどな…」

ポソッと目の前に座っていた水原翔(男子17番)が呟いた。
葉月は頷いた。
しかし、その望みは少ないだろう、銃声が数回聞こえた。

『皆、ちょっと行動を止めて聞いてくれ…名簿と地図を出しなさい』

これもずっと聞き続けてきた東田晴樹(担任)の声。
ただ、スピーカーの質が悪いのか何なのか、かなり歪んだ声だ。
そして、かなり暗く沈んだ声。

「…東田訳わかんねぇよ…そんな嫌なら、こんなトコ来なけりゃよかったんだ…俺ら見捨てて家に帰りゃよかったんだ…生徒と教師なんて、赤の他人じゃねぇか…」

翔が地図と名簿の入った透明のファイルを出しながら言った。
葉月も同感だった。
わざわざこんな事に付き合わなくてもいい、東田には東田の家庭があって、家族がいるのだから、いくら生徒とはいえ赤の他人のためにこんなことにまで付き合ってもらわなくてもいいのに。

『まず、し…死んだ生徒の名前を言っていくぞ…死…んだ順番…だから…男子1番、朝倉伸行…男子21番、矢口宗樹…女子2番、赤木明子…男子12番、西野葵…男子18番、実月裕太…男子4番、遠藤圭一…女子17番、湯中天利…以上だ…これは冗談じゃなく…皆…』

葉月は愕然とした。
持っていたペンが床に落ち、その音で翔が自分を見たのも気づかなかった。
たった2時間で7人のクラスメイトが死んだ。
あまりに多すぎる。
自然とぼろぼろと涙が溢れてきた。

『あと、禁止エリア…よく聞いて、そこにいる人はちゃんと出て行くように…1時間後、午後7時にF=06…午後9時にF=09…午後11時にC=03…皆、ゴメンな…頑張ってくれ…』

チャイムの音と共にブツッとマイクの電源を切る音がした。

あぁ…明ちゃん…天利ちゃん…

葉月は丸いメガネを外し、両手で顔を覆った。
涙が止まらなかった。

「シューキ…マジかよ…クソッ!何かの冗談だ、信じられるわけねぇだろ!!」

翔は拳で床を殴った。
その音に驚いて葉月は顔を上げた。

「鳥江、行くぞ…ここも禁止エリアだとよ…」
「水原くん…」

葉月は立ち上がった翔の涙を見逃さなかった。

水原くんも泣いてた…そうだよね、矢口くんと仲良さそうだったし…
辛いのはあたしだけじゃないんだよね…

「水原くん、ちょっと待って…これ、着てて…」
「…何だそれ?」

葉月が取り出したのは、葉月に支給されていた防弾チョッキ。
翔はそれを見た後、葉月を見た。
そしてしゃがむと、葉月の胸倉を掴んだ。

「何だよ…あんだけ名前が呼ばれてたから…もう誰がいつ襲ってくるかわからないから…だから着ろってことかよ…」
「違う…あたしそんなつもりじゃ…っ」
「俺は信じない!!あんなの嘘だ、冗談だ!!シューキも誰も死んでないんだ!!」
「落ち着いてよ…落ち着いて!あたしも信じたくない…でもこれは現実なの…水原くんだって見たじゃない…朝倉くんと明ちゃんの…その…」

葉月の目から再び涙が零れ落ちた。
それを見た翔が手を離した。

「ゴメン…わかってる…わかってるんだ…でも…信じたくないんだよ…何で俺たちが…殺し合って…死ななきゃなんねぇんだよ…?あのクソ忍者、絶対許さねぇ…」
「うん…」

葉月は涙を拭って頷いた。
そして、万一の時のため、と防弾チョッキを手渡した。


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