過去ログ - まゆ「ソウシソウアイ」
1- 20
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/04(火) 04:28:03.76 ID:qHZXIXXt0

――嬉しい。

こんなにも嬉しい気持ちは、今までで絶対になかった。

あの人は、彼は、まゆのことが好きだった。

しかも初めから、ずっとずっと。

それは……まゆと一緒で。

まゆも、彼のことが初めて会った時からずっと、ずっと。

「まゆは……」


だから――


「まゆは、貴方のことが、好きですよ」


僅かな香りと共に一筋の潮風が、急に吹く。


やっと、やっと言えた。


まゆが臆病だから、怖がりだから、ずっと言えなかった言葉が。

面向かって、彼の顔を見て、しっかりと言えた。

……どのぐらい時間が経ったのだろう。

まゆが一言を言い終わってからの一瞬。

その一瞬が何秒何分なのか分からない、何も考えれなかった時間が続く。

そんな止まった時の中でゆっくりと彼が口を開いて、動き出す。

「……ほ、本当に?」

「はい……まゆは、貴方が好きです」

改めてもう一度言う。

今度はもう、勇気とかそんなのいらなかった。

彼はうつむいて、顔を隠す。そして――

「は、はは……あははははは!」

急に笑い出した。抑えていただろう涙を流しながら高々に、嬉々と。

頬を引っ張って、いたいいたいと、言いつつ。

「夢……夢じゃない、夢じゃないんだよな!」

「いて、いてて……夢じゃない! 夢じゃないぞ! あはははははははは、あっはははははははは!」

笑いすぎて、周りに人が居たら絶対に迷惑だなって、どうでもいいこと考えちゃって。

「うふふ……あははは……!」

まゆも彼に釣られて笑ってしまった。

笑いに誘われたのか彼の行動が変だったのか、嬉しかったのか、そんなことはどうでもいい。

ただただ、彼と一緒に笑いたかった。

『あっはははははは!』

誰も居ない広場が、2人の笑い声で埋め尽くされる。

経った時間が分からないと思ったのは、今日何度目だろう。

そのまま、2人揃って気の済むまで……笑い続けた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
42Res/43.19 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice