25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/04(火) 04:24:29.00 ID:qHZXIXXt0
思考が止まって言葉の単語を部分部分に理解しかできないまま、彼は言葉を続ける。
「初めて会った時……うちのアイドルとまゆちゃんが一緒に撮影した時だったかな」
「その時にまゆちゃんの姿を見て、衝撃を受けたんだ」
「その日はもう、大変だった。他の事務所と同じ仕事だから集中しようにも、まゆちゃんが気になってしょうがなくて……」
「帰るとき、その場所を離れるのが惜しくて……もうちょっとお話しをしたかったかな、とか思って」
「メールアドレスぐらいは聞いておけば良かったって何度も後悔してさ……」
「だから、まゆちゃんが俺にプロデュースされに事務所に来たとき、たまらなく嬉しかった」
「何故、どうしての気持ちよりも嬉しさと焦りが強くて、あの時の俺って混乱しすぎだったよね」
「なんかその瞬間運命とか感じちゃって……はは、何か俺らしくないかな、うん」
そこでついた、彼の小さな溜息でまゆはやっと口を開けるようになった。
「まゆのことが、好きだったんですか?」
「……そうだよ、俺はまゆちゃんのことが好きだ。初めて会った時から、ずっとね」
そしてまた彼は再度、次々と言葉を続ける。
「まゆちゃんがうちの事務所に入って結構すぐに社長が別の子をスカウトしてきて…」
「しばらくその子に付きっ切りになった時は、悲しかったかな」
「何人も担当してるから仕方ないし社長の言葉も分かってたけど、それでもまゆちゃんと一緒に仕事する時間が減って……」
「その時は本当に講義しようか考えたかな。……どうしようもなく大人気ないね」
「でも、まゆちゃんはオフでも事務所に居てくれて、そんな考えも消えて……休んでるときよりも働いてる時の方が幸せだったかも」
「……事務所に入ってきてしばらくって言うと、熱で1日休んだこともあったね。あの時は正直仕事どころじゃなかったよ」
「急いで終わらせて、買ってきた薬は必要なくて良かったけど……」
「お見舞いの品、タオルなんてつまらないもの選んじゃて……俺、センスないなぁとか後悔して」
「……急に弁当をくれた時もあったね。あの瞬間、舞い上がる思いでさ……抑えるのが大変だったなぁ」
「いつもパンばっかりだったからさ、その嬉しさもあるけど何よりまゆちゃんに貰ったのが嬉しくて」
「他のアイドルの子に、テンションがおかしいよ、って何度言われたか……今思い出すと、恥ずかしい」
「味もまゆちゃんの優しさが直に感じれて……母さんには悪いけど、今まで食べたどんな物よりも美味しくて」
「また食べたいなと思って、勇気を出して言った、また作って欲しいっていうのを聞いてもらえた時はもう……何とも言えない気分だった」
「それからほぼ毎日作ってもらっちゃって、本当にまゆちゃんはいい子だなって思って……」
「ますます好きになっていって、俺じゃどうしようもなくなりそうだ」
「……まゆちゃんが来てからあんまり経ってないのに、思いだけでもこんなに語れるんだなって」
彼の思いが次々と語られる。
まゆはそれを聞いてるだけで、受けるだけで。
真剣な表情でまゆに向かってそう言い終わって、次の瞬間には不安な表情に彼はなっていた。
「まゆちゃんは、どうなのかな」
「……」
「……こんな場所に連れてきて、やっと全部言えたけど。結局はまゆちゃんの思い次第だから……さ」
初めて見る、今にも泣き出しそうな彼を見てまゆは……目を閉じた。
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