85:「退廃都市のコウノトリ」[saga]
2013/06/19(水) 00:28:49.81 ID:Mafuj4KV0
兄妹は手を繋いであみだのような道をなんとなく歩いた。
しかしどこまで行っても変わり映えしない風景で、二人は少し飽き始めていた。
見上げた隙間から見える空はまだ明るいが、ずらりと並んだ建物の陰がまるで夕暮れ時のようで
兄妹はなんだか随分歩いたような気分がしていた。
兄「静かだし、この辺なら新しい家にしてもよさそうだと思ったんだけど……」
妹「おんなじ建物ばっかり。なんにもないね」
兄「ちょっとつまんないよなー」
妹「お店も遠いよ?」
兄「それも問題なんだよなぁ」
妹「ご飯食べられなくなっちゃう」
兄「うーん……誰も居なくていいトコなんだけど」
妹「もう暗くなっちゃうよ。戻ろ?」
兄「そうだな……なーんかこの辺、暗いもんなぁ」
そう言って兄は空を見上げた。妹もつられて兄の視線を追う。
建物に切り取られた空には、薄い雲が風で引き伸ばされ、拡げられている。
その中をゆっくりと飛ぶ何かに気付き、妹は小さく声をあげた。
妹「あ……」
兄「……コウノトリ、かな?」
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