過去ログ - 慎二「お前が僕のサーヴァントか!」その2
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224: ◆DDBjj51DRA[saga]
2013/06/30(日) 20:20:36.94 ID:k9ehC6H90
アインツベルンの屋敷[エントランスホール]


「――――――……くッ!」

正義の味方というものにも種類がある。
ヴァッシュ、セイバー、アサシンはそれぞれが違うタイプのそれで―――

例えるなら、セイバーは今回もそうであったように感情に従って動く正義。
感情に従っているわけだから厳密にはそれは正義ではないが、結果としてもたらすものが正義とほぼ同一になる。
嫌なものは嫌。その嫌な物と言うのがセイバーの場合は悪というだけ。
正義の味方ではなく、いうなれば正義そのものだ。

アサシンは精神的な正義。義士的な正義だ。
誇りや情熱を大切にするアサシンらしいスタイルで、例えば悪の道に堕ちた者がいれば(根っからの悪党は別として)そいつをアサシンは救おうとするだろう。
仲間が精神的に追い詰められ、疲弊し、殺してくれと懇願するようならば、躊躇はするし説得もするだろうが、それでも無理なら聞き届けるだろう。
命と同等に誇り、名誉に重きを置き、罪を憎んで人を憎まず。
一度相対した相手ならば、礼を以て全力で下す。
状況で変わる正義と言うと聞こえが悪いが―――――正義の味方とは、一般的にこういうものを言う。

そしてヴァッシュ。ヴァッシュの正義は、まさに夢物語だ。
誰も殺さない。誰も死なせない。それを本気で、目指している。
例え自分が傷つこうが、虐げられようが、そんなことはどうでもいい。
それで守れる命があるというのなら、ヴァッシュは恥も外聞も――その身その命さえ投げ打つだろう。
酷く歪で、矛盾した信念。
だからこれは、もっとも得難い結果であり、為しがたい正義で――――ほとんど呪いのようなものだ。

セイバーはその正義を振るうことで、直接であれ関節であれ誰かが救われるのなら、例え誰に感謝されずとも、行動するだけで満足する。
アサシンはその正義を謳うことで、自らの心に燃料を注いでいるのだろう。明日もまた、誰かの心を救うため、誰かの笑顔を守るため。

ヴァッシュは、そんな風にならない。その正義は――――彼を苦しめるだけだった。
そして、俺も同じだ。
―――――――――――そんなことは、とっくの昔に気付いていた。




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