過去ログ - クリスタ「ユミルを好きになるお話」ユミル「ほう」
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61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/12(水) 18:02:19.94 ID:PJovi8Fp0
訓練場までの廊下はやけに長く感じた。歩く度に後ろにひっくり返りそうになる。
呼吸はちゃんとしているだろうか。不安になって口元に手を当ててみる。


「……ッ」


頬が湿っぽい。苦しい。通りがかる人が、私を振り返る。どこかに座りたい。足がズクズクと痛む。
どこかに座った方がいい。ふと、立体起動の練習の時を思い出した。


足場がすごく不安定。支えるものが無い。それはユミルだったのだろうか。私がきちんと立つために必要だったのか。
それは、いつからだったのだろう。それは、ユミルが最も望まぬ所だったのに。


息苦しい。言えなかった何かが、ぐしゅぐしゅになって喉で燻っていた。分かりたかったのに。
私にはユミルの傍にいる資格がないと、そう言われたような気さえしてしまう。


別に遠くへ行ったわけではない。食事だって訓練だって、お喋りすることだってできなくなったわけではない。
なのに、私の心はまるで、さよならしたみたいにショックを受けている。


ユミルと言う人間について、私が知っているのはほんのわずかなことだった。彼女は自分というものについてあまり話したがらない。
聞いたとしても曖昧にはぐらかされる。


ユミルってどんな人?


同期の訓練生に、尋ねられたことがある。その時は、得体の知れない人と答えた。深く付き合うようになる前まではそんな印象だった。
でも、話をするようになってからは、いざという時の落ち着いた感じや、ズバズバと本音を言ってのける彼女に惹かれていたように思う。
今さら、彼女への言い訳みたいにそんなことを思い出しても仕方がないのに。


それでも、大きくなっていく。ゆらゆらと不安定なまま。


「クリスタ」


名前を呼ばれた。振り返ると、


「あなた……」


救護室にいた彼女が立っていた。



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