過去ログ - クリスタ「ユミルを好きになるお話」ユミル「ほう」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2013/06/12(水) 20:23:47.83 ID:PJovi8Fp0
薄暗い中で、彼女の眼光に鋭いものを感じた。戦士の目ではなかったが、きっと私には理解できない尊いものなのだろう。
ただ、そう前も感じた、既視感。
「最後の最後まで飛びたいから、門の下の所から運んでくれるかしら?」
「うん……」
彼女に装置を付けてあげて、私たちは部屋の窓から、できる限り音が出ないように飛んだ。
夜の空を飛んだことはなかった。暗闇に慣れるのは早かったが、共に飛ぶ彼女はやはりしんどそうにしていた。
でも、そのことに触れるのは彼女にとって余計なことだと思った。だから、何も言わず同じ速度で進んだ。
ガスは極力使わないように、建物の屋根を這うように走った。
街では松明による灯りがちらちらと夜道を照らしていた。
午後の訓練では装置の整備で済んだが、もし、私が装置を一つ拝借したことがばれたら、
そして外出禁止時間に怪我人を連れて門外へ行くことがばれたらどうなるか。考えるのも馬鹿馬鹿しいけれど。
飛びながら、ずっと前にサシャにパンを持っていったことを思い出した。あの時もこんな時間で、こそこそと人目を憚って外に出た。パンを見せた途端に、彼女は凄まじい速さで飛びついて来たことを思い出し、可笑しくなった。
「どうしたの? 怖くなった?」
「え、ううん」
「そう、震えてるから何かと思った」
後ろにいた彼女が不思議そうに言った。表に出して笑っていたつもりはなかったけれど。身体は心に素直なようだ。
そうそう、それからその後……。
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