16: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:38:20.30 ID:/rY7KXeB0
 プロデューサーが突然私の傍から姿を消した。 
 普段なら残す伝言すら残さずに、突然。 
  
 最初は風邪とか、何か忙しいのだろうと考え仕事に励み続けていた。 
  
17: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:38:50.40 ID:/rY7KXeB0
 それなのに何の伝言も残されてはいなかった。 
 唯一聞けたのは「都合上、遠い場所にいる」と言う事だけ。 
  
 プロデューサーの事が心配で 
 逆に言えばただ、それだけの事なのに私は仕事すら手につかない状態に陥っていた。 
18: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:39:34.11 ID:/rY7KXeB0
 プロデューサーが話してくれた「時間が止まった頃」のように 
 貴方が居なくなった事で私の中の時間も止まってしまったのかもしれない……。 
  
 何でだろう。何とも思っていない筈なのに。 
 ただのプロデューサーなのに。 
19: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:40:08.07 ID:/rY7KXeB0
 プロデューサーは……貴方は 
 私の事を「見ていてくれる」から…… 
 私の事を「一番に考えてくれる」から…… 
 それだから、私も貴方の事を一番に考えるようになったのかもしれない……。 
  
20: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:40:33.19 ID:/rY7KXeB0
 「如月君」 
 「――!?」 
  
 気がつくと、私の傍に社長が立っていた。 
  
21: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:41:21.64 ID:/rY7KXeB0
 手紙……? 
 私への伝言は何も無かった筈じゃ……? 
  
 「隠していてすまない。 私はとある人物に頼まれて、今まで渡すのを躊躇っていたんだ」 
 「今まで……私が辛い思いをしているのを知っていて隠していたんですか?」 
22: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:41:52.05 ID:/rY7KXeB0
 「如月君、落ち着いて聞いてくれ」 
 「何ですか……今更……」 
  
 私は相手が社長だとわかっているのに、憎しみを抑えきれずにいた。 
  
23: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:42:29.55 ID:/rY7KXeB0
 そこまで考えてくれていた……? 
  
 「しかし、君のあまりにも辛そうにしている所を見てね。 さすがに私ももう潮時だろうと思ったのだよ」 
 「社長……ごめんなさい。 失礼な事を言ってしまって」 
  
24: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:43:13.10 ID:/rY7KXeB0
 「彼には口封じされていたのだが、仕方ない。 ここがプロデューサー君の入院している病院だ」 
  
 社長は私に住所と部屋の番号が書かれた紙をそっと握らせてくれた。 
  
 「行きたまえ。 如月君の大切な人の元へ」 
25: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:43:55.70 ID:/rY7KXeB0
 「千早へ」 
  
 冒頭には短く私の名前だけ書かれていた。 
  
 「千早がこれを読んでいると言う事は、とても辛い思いをした後だと言う事になるな」 
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