過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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283: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 01:47:23.01 ID:ChvAzoBW0
「まぁ陽乃さんなら、もしかしたら無理やりにでも俺を更生っつーか矯正っつーか、そういうのもできたのかもしれないし、そうしたら俺の学校生活も変わってたのかもしれねぇよ。だけど、それは俺のこれまで歩いてきた道の全否定が前提だろ、そんなの絶対に御免だね」
「でも、更生できたら今よりもう少しはマシな人生を送れるのに」
「過去の自分を否定して、今の自分から目を逸らして、そこまでしてようやく手に入るような未来なんて、そんなのもう俺じゃねぇよ。欺瞞にも程があるわ」
「……相変わらず捻くれてるわね。良い人生を送りたいと思わないの?」
「前も言ったろ、こんなでも、俺は自分のことが嫌いじゃないんでね。結局大切なのは良いか悪いかじゃないんだよ、望むか望まざるかだ。押しつけられた幸せなんて不幸にも劣るわ。誰に何と言われようが、俺は今がいい。仮にもう一度選べるとしたって、先に出会うなら、俺は雪ノ下の方がいいよ」
以下略



284: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 01:57:12.85 ID:ChvAzoBW0
「……」
「? どうした? まだ何かあるのか? 苦情なら勘弁してくれよ、もう陽乃さんの相手で満身創痍なんだから」

 ふと黙り込んでしまう雪ノ下。
とりあえず怒っているわけではなさそうだけど、何かを考え込んでいるみたいだ。
以下略



285: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:02:05.12 ID:ChvAzoBW0
「“雪ノ下”じゃ、どちらか分からないわね」
「いや、それこそ文脈から読み取れよ、学年一位さん」
「何を言っているの? 重要な部分よ、そこをはっきりしないなら、出題側の方にこそ問題があると思うわ」

 すっと目を細めて俺を見やる雪ノ下。
以下略



286: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:08:36.39 ID:ChvAzoBW0
 俺に向けられた雪ノ下の透明な眼差し。
その目にも、表情にも、今は何の感情も窺えない。
けれどそれが、あるいは俺の言葉でどちらかに振れるかもしれない――そう思ってしまうと、もう駄目だった。

 ここでもし仮に、万が一にも、負の方向へその針を傾けてしまったら。
以下略



287: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:23:30.71 ID:ChvAzoBW0
「だから――」

 だから、言ってやろう。
言った結果どうなろうが、もういい。
そもそも本当にこいつが望んでいる言葉かどうかも分からないけど、はっきりと口にしてやる。
以下略



288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/30(日) 02:26:02.25 ID:7i9IbzgZo
エンダアアアアアアアアア


289:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/30(日) 02:31:03.25 ID:RiHhaV/Lo
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


290: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:33:47.93 ID:ChvAzoBW0
 雪ノ下が、その瞬間目を丸くした。
口も微かに開いて、どこか茫然としたような顔。

 おぉ、何かレアな表情だなーと思ったのは一瞬。
今、自分が何を言ったのかを、遅れて俺の脳が理解して。
以下略



291: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:39:32.02 ID:ChvAzoBW0
「ま、待て雪ノ下。怒る前にちょっと俺の話を聞いてくれ。お叱りの言葉は後で聞くから、だからまずは言い訳をさせてほしいと言うか――」
「ふふ……」

 ばたばたと手を振る俺を余所に、雪ノ下は怒るどころか――微笑んでいた。
目を閉じて、言葉を噛み締めるようにしながら、小さくささやかに笑い声を零す。
以下略



292: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:44:31.07 ID:ChvAzoBW0
「えっと、雪ノ下?」
「別に、雪乃で構わないわよ?」
「いや、それはもう勘弁してくれ……」
「だらしない男ね、名前を呼ぶ程度のことで。まぁそれもあなたらしいと言えばあなたらしいけど」
「放っとけ」
以下略



293: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/30(日) 02:50:11.23 ID:ChvAzoBW0
 ただとりあえず、不正解の選択肢を選ばずに済んだことだけは間違いなさそうで。
俺もようやく安堵の息を吐く。
果たして自分が何に安堵したのかは、今はまだ良く分からないけれど。

「ったく、さっきまであんなにしおらしかったのに、何かご機嫌だな」
以下略



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