過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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413: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:20:57.72 ID:rJ2hA1u/0
 は? と俺が間抜けな声を上げるのを聞くでもなく、平塚先生は今度こそ部屋を後にする。
一瞬呆けて、それからようやく気付く……まだ雪ノ下の手を握ったままだったことに。

 と同時に、手に伝わってくる様々な感触が、堰を切ったように俺の脳内を駆け抜ける。
きめ細やかな肌の滑らかさを、その芯にある温もりを、そんな諸々を知覚して。
以下略



414: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:27:51.16 ID:rJ2hA1u/0
 しかし、それは真実俺の自業自得なわけで。
これはもう素直に謝るのが先決だ。

「えっと、すまん、雪ノ下」
「……ぁ」
以下略



415: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:37:10.50 ID:rJ2hA1u/0
「これは、その……って」
「動かないで」

 正面から向き合って反省の弁を述べようとしたのだが、俺の手をがっちりと捉えたままの雪ノ下の手がそれを許してくれなかった。
あれ? これは何でしょうか?
以下略



416: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:42:05.10 ID:rJ2hA1u/0
「あの、雪ノ下、お前の怒りはごもっともというか、その、全面的に俺が悪かったというか」
「――少し黙っていなさい、比企谷くん」
「……」

 感情を無理矢理抑え込んでいるかのような平坦な声に、俺は口を閉ざさざるを得なかった。
以下略



417: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:48:18.10 ID:rJ2hA1u/0
「はぁ……全く、あなたという人は本当にどうしようもないわね、いきなり女子の手を掴んでくるだなんて、相手によっては通報されていてもおかしくはないわよ」
「いや、うん、それは本当に悪かったよ。これからは絶対しねぇから、だからその」
「ちょっと待ちなさい、比企谷くん。どうも誤解があるようね」
「んなことねぇよ、お前が俺に手を掴まれて気分を害したってことはちゃんと理解してるから」
「だから、それが間違っていると言っているのよ」
以下略



418: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:54:26.40 ID:rJ2hA1u/0
「でも、怒ってるんだろ?」
「当たり前じゃない、いきなりあんなことされたら。せめて一言断ってからにしなさい」
「あれ? 問題なのってそこ?」
「当然でしょう。もちろん私がそれを了承するかどうかは、また別の話だけれど」

以下略



419: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/21(日) 23:58:07.94 ID:rJ2hA1u/0
 何にしても、思ってたほどは怒っていなかったみたいで、それは本当に僥倖だった。
腹を切って死ぬべきであるとか言われたらどうしようかと思った。雰囲気的にそう言われたらやりかねなかったし。
そんな風に俺が安堵の息を吐いたところで、雪ノ下が駄目押しをしてくる。

「安堵しているようだけれど、次はないわよ。もしまた許可なく勝手なことをしたら――終わらせるわ」
以下略



420: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/22(月) 00:02:35.45 ID:yzu8Refc0
 と、そこでようやく雪ノ下の手が俺の頭から離れた。
一つ深呼吸してからゆっくり振り返ると、雪ノ下はいつも通りの余裕綽々の表情で俺を見下ろしていた。
本当にこいつはどうしてこうもいちいち上から目線じゃないと落ち着かないんだろうか。
何? お前どこの姫なの? 見下し過ぎて逆に見上げてたりするの?

以下略



421: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/22(月) 00:06:42.24 ID:yzu8Refc0
「そうだ、言い忘れてた」
「何かしら?」

 だから。
一度居住まいを正し。
以下略



422: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/22(月) 00:12:27.95 ID:yzu8Refc0
「前髪さんきゅな――雪乃」

 瞬間、雪ノ下の目が少し見開かれる。
不意打ちに弱いこいつには有効打になるはず、と思っての名前呼びだ。

以下略



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