過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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654: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:05:06.04 ID:jKlodeLz0

 それなのに、そう理解しているのに、どうして俺の心はこんなにもざわついているんだろう。
心の内からちくちくと突かれているかのような錯覚が、なぜ消えないんだろうか。
俺は、一体何がそんなに気になっているというのか。
自分で自分がわからずに、動揺と焦燥に翻弄されてしまう。
以下略



655: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:14:43.21 ID:jKlodeLz0

 俺にできることなんて高が知れているのだ。
余計なお世話かもしれない。それは分かる。
まず望まれてもいないだろう。それも分かる。
あるいは不審と不興を買うかもしれない。それすら分かっている。
以下略



656: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:19:39.28 ID:jKlodeLz0

「とりあえず買う物は決まってんだろ? オマケだってすぐには無くならないかもしれんけど、早めに買っといた方がいいんじゃねぇの? 少なくなったら選択肢も減るだろうし」
「……そうね、悩んでいても仕方ないものね」

 ふぅ、と小さくため息を吐いて、迷いを振り切るように踵を返す雪ノ下。
以下略



657: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:25:51.80 ID:jKlodeLz0

 そして、最後の審判と思わず評したくなるような決断の時。
売り場でもしこたま悩んでいたはずなんだけど、ここでも幾つかの写真の間で視線と指先が何度も行ったり来たりしていた。
本音では順位付けなどしたくないんだろうが、それでも唯一を選ばなければならない苦悩が容易に見て取れてしまう。

以下略



658: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:32:44.46 ID:jKlodeLz0

「はい、どうぞー。大切にしてあげてくださいね」
「……えぇ、ありがとう」

 パンさんの人形を受け取ったところで、雪ノ下の表情もようやく柔らかく緩む。
以下略



659: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:40:02.79 ID:jKlodeLz0

「あら? 随分遅いと思ったら、あなたも買い物をしていたの?」
「まぁな。せっかくだし小町におみやげでもと思って」
「そう、お気に入りのディスティニーキャラがいるのかしら」
「いや、特定の何かにハマってるわけじゃないみたいだな。ディスティニーキャラなら何でもって感じだぞ、あいつ」
以下略



660: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:51:17.41 ID:jKlodeLz0

「ちょっと、急に立ち止まらないで頂戴。なに? 忘れ物でもしたの?」

 少し不服そうな声。
けれどこちらとしては、それを気にする余裕なんて無かった。
以下略



661: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:56:04.37 ID:jKlodeLz0

「あー……えっとさ、その」
「日本語まで不自由になったのかしら。言いたいことがあるのならはっきり口にしなさい」

 上手く言えずに口ごもってしまった俺に、雪ノ下は不審そうな眼を向けてくる。
以下略



662: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:03:28.57 ID:jKlodeLz0

 意を決して、買い物袋の中からある物を取り出して、すっと差し出す。
視線が俺の手元に向かい、それが何かを理解した瞬間、雪ノ下が目を丸くする。

 それは、さっき雪ノ下が迷った挙句選ぶことのできなかった人形の内の一つ。最後まで悩んでいた片割れだ。
以下略



663: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:08:31.56 ID:jKlodeLz0

 すっと目が細くなり、訝しむような声で問うてくる雪ノ下。
予想はしていたけど、散々な言われようだった。

 まぁそうだよな、普段の俺からは考えられないもんな、こんな行動。
以下略



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