過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:14:32.70 ID:jKlodeLz0
「どちらにしても、それは受け取れないわね。あなたに施しを受ける謂われはないのだし」
「いや、でも欲しかったんだろ、これ。お前最後まですげぇ悩んでたしさ」
「……そうね、否定はしないわ。だけどそれでは質問に答えてないわよ。どうしてそれを私に渡そうとするの? 何が目的なの? 自分がいらないのなら小町さんに渡せばいいのではなくて?」
以下略
665
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:23:00.55 ID:jKlodeLz0
まぁ当然と言えば当然の話か。
雪ノ下は、たとえ自分が欲しかったものだとしても、人からただ与えられることを良しとするような女ではない。
理由もなく人から物を貰うなんて、むしろ忌避していそうですらある。
そんなこと俺だってよく知っていた。
以下略
666
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:26:46.82 ID:jKlodeLz0
理屈ではわかっているのに。
なのに、どうして俺はこんなことをしているのか――自分の中の何かに突き動かされるような、そんな衝動的な行為だったけど、その何かがわからなかった。
いつだって自分の気持ちというのは、自分自身ではどうしたってままならない。
以下略
667
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:31:43.29 ID:jKlodeLz0
もっと以前であれば、俺から物を貰うなんてあり得ないとか言って、話も聞かずに一蹴されていたかもしれない。
あるいは怒りすら滲ませまがら、無言で立ち去っていたかもしれない。
でも、今は違う。
以下略
668
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:38:39.46 ID:jKlodeLz0
さっき小町に煽られたから、というわけでもないけど。
以前に陽乃さんに唆されたから、というわけでもないけど。
いつか由比ヶ浜に諭されたから、というわけでもないけど。
以下略
669
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:45:54.66 ID:jKlodeLz0
「――これは、小町に渡そうと思って買ったもんじゃねぇよ。これはお前に――雪乃にあげたくて、手に入れたんだ」
「だから、どうして? それを私が受け取る理由はないじゃない」
「理由とか理屈じゃないんだよ。下心とか疑われるかもしれないけど、そういうのでもなくて……何て言ったらいいんだろうな、あぁもう」
「……」
以下略
670
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:50:03.85 ID:jKlodeLz0
焦りそうになる俺に、けれど雪ノ下はそれ以上の言葉を重ねない。
ただ静かに、目で続きを促してくる。
いつもの透明な表情。
正でも負でもなく、喜でも怒でもない。
以下略
671
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 22:55:01.87 ID:jKlodeLz0
「――何ていうか、さっきしかめ面で悩んでるお前を見てたら、すごい心がもやもやしたんだよ。それが嫌だったんだ」
「それで?」
「いや、それでっていうか……だから、全部は無理にしたってせめてもう一つくらいはって思ったんだよ。そうせずにはいられなかったっつーか、そうしないと落ち着かなかったっつーか。だから別にこれを渡してどうこうとかは全く考えてねぇよ。要はただの自己満足だ、俺がそうしたかっただけ。本当にそれだけなんだよ」
「……」
以下略
672
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 23:01:07.03 ID:jKlodeLz0
「って、まぁでも確かにこれじゃ、お前が受け取る理由にはならねぇよな……」
口にした事で、ちょっとトーンダウンしてしまった。
実際、無理に受け取らせるのも何か違うだろう。
以下略
673
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 23:08:42.25 ID:jKlodeLz0
「相変わらず、不自由で不器用な言葉遣いね」
「うっせ、そっちも相変わらず容赦ねぇじゃねぇか」
「それが私だもの。だけど、言いたい事は何となくわかったわ。要は打算なんてなくて、それでも強いて理由を挙げるなら自分の為にそうしたかったんだと、そう言いたいのでしょう?」
「ん……まぁそうだな、そうなるな。いやそんな風に言われたら何かすげぇ自分勝手に聞こえてあれなんだけどさ」
以下略
674
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/09/07(土) 23:12:01.50 ID:jKlodeLz0
「なに? その表情」
「いや、だってお前、受け取る理由がないって言ってたのに」
「そうね、あなたが安易に私の為とか口にしていたなら突っ撥ねていたわ。憐れみも施しも真っ平御免だもの。だけど違うのでしょう?」
「あぁ、そうじゃない」
以下略
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