過去ログ - 岡崎泰葉「マイ・パッション」
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 19:00:20.81 ID:sFJRaXSc0

事務所に帰ると、大人たちが会議室にこもって何事か話していました。

薄いスチール戸の向こうから、話し声が聞こえます。

葉の伸びた観葉植物、煤けたソファ、書類の積まれた事務机……殺風景な部屋。
他に気を引くものもなくて、私は大人たちの話し合いを聞き流しました。

『こっちは……まあ、予想通りの出来だな』

『ああ、まだ当分は心配いらない』

『……こっちは?』

『駄目だな。昔ほどには見込めなくなった。使えるうちに使っておこう』

『こいつはまだ“綺麗”だからな。その価値はある』

ぞくりと、背中に悪寒が走った。

誰も私の名前を出してはいない。だけど嫌な予感は膨らむ。

私がここで聞いてることを、戸の向こうの大人たちは知ってるのかもしれない。
そんな気がして……背筋が寒くなりました。

根が生えたように、その場で私が棒立ちになっていると。
やがて話し声が止み、戸が開きました。

その場を離れるかどうか、猶予する暇もなかった。

「お? 帰ってたのか」

会議室から出てきた大人の一人に、声をかけられました。


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