過去ログ - 奉太郎「軽音楽少女と少年のドミノ」
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24: ◆2cupU1gSNo
2013/07/01(月) 21:10:54.49 ID:wMCLhwQ+0
「『車輪』が『社会の仕組み』の暗喩だとしたら、
鉄道研究会よりもそっちの方を優先的に調べてみるべきかもね。
もちろん社会そのものの下を調べるとかそういう意味じゃなくて」
「『社会科教室』か」
理科ほどではないが、社会科も多くの備品が必要な教科だ。
地図、映像、資料。
それらの備品を教室まで運ぶ教師がいないわけではないが、
我が母校のほとんどの社会科教師は生徒の方に社会科教室まで足を運ばせさせていた。
正直面倒ではあるが、もし俺が彼らと同じ立場なら間違いなくそうするだろう。
『ゲーム』、いや、今の場合は『クイズ』に近いか。
普通の問題でもそうだが、『クイズ』には複数個の解答があってはならない。
それでは参加者と主催者の間に公平性が保てないからだ。
そう考えるとするならば、『車輪』というヒントだけでは実に解答が曖昧だ。
自動車や自転車、それらに関する部室などこじつければいくらでも見つけることができるじゃないか。
しかし『車輪』が『社会』というヒントになれば、その数もぐっと絞れる。
まさか校外の社会博物館まで探れという『ゲーム』でもないだろう。
あくまでこれは『ゲーム』なのだ。
それも千反田が十分以内に準備ができるような。
ならばこれで決まりだろう。
「里志、うちの学校に社会科教室はいくつある?」
俺はそれを知らない。
訪れたことがある社会科教室も一つだけだった。
里志は少し首を捻り、数秒後には笑顔で俺の質問に答えていた。
「三つかな。
主に日本史に使われてる教室、世界史に使われてる教室、
その他の授業に使われている教室の三つだったはずだよ。
例外的に社会の授業に使われている教室がなければ、それで間違いないと思う。
でもこの場合は例外まで考える必要はないよね?」
「『ゲーム』だからな。
例外をいくつも考え始めたら成立しなくなる。
あくまでよく考えれば分かる程度の問題を考えているはずだ。
目的は掴めないが、千反田だってそんな意地悪をしたくて俺たちに『ゲーム』を仕掛けたわけじゃないだろう。
これは解ける『ゲーム』でないと意味がないんだ。
例外は無視して構わないだろうな」
「『オッカムの剃刀』だね」
前に読んだ小説で聞いた覚えがある。
はて、どんな意味だったか。
「仮定が多過ぎても意味がないってことだよ、ホータロー」
さいですか。
里志にはわざわざ難解な言葉を使いたがる傾向がある。
しかしそれだけ言えれば満足だったのか、わざとらしく咳払いをしてから里志が続けた。
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